夜の都会を走る、一台のタクシー。 運転手は、偏屈なセイウチ。 乗ってくる客は、承認欲求モンスターのカバや、地下アイドルとして売れたいネコたち。
「なんだ、動物たちのほのぼの日常アニメか」 そう思ってチャンネルを変えようとしたあなた。ちょっと待ってください。
今回ご紹介するのは、アニメ放送時に「伏線が凄すぎる」とネットをざわつかせた傑作ミステリー『オッドタクシー』の漫画版(全5巻)です。
可愛い絵柄とは裏腹に、描かれるのは「練馬区女子高生失踪事件」を軸にした、ヤクザや半グレが絡むドロドロの犯罪劇。 そして、最終巻で明かされる「なぜ彼らは動物の姿をしているのか?」という衝撃の真実。
たった5巻で、あなたの世界を見る目は変わります。 かわいい動物に癒やされようとして、背筋を凍らせてみませんか?
ガンマ先生僕も最初は「ズートピア」みたいな話だと思ってました。 でも読み始めてすぐ、会話の端々に混じる「毒」と「狂気」に気づいて、もう抜け出せなくなりましたね…。
たった5巻で衝撃体験!『オッドタクシー』とは?
まずは、この異色作の基本データをおさらいしましょう。
- 作品名:オッドタクシー
- 原作:P.I.C.S. / 此元和津也(このもと かずや)
- 作画:肋家竹一(あばらや たけいち)
- 連載:ビッグコミックスペリオール(2021年〜2022年)
- 巻数:全5巻(完結済み)
- ジャンル:ミステリー、サスペンス、群像劇
- あらすじ: 41歳のタクシー運転手・小戸川(おどかわ)は、身寄りがなく、他人とあまり関わらない変人。 彼のタクシーには、一癖も二癖もある客ばかりが乗ってくる。 バズりたい大学生、婚活中の看護師、売れない芸人、強面のごろつき…。 彼らとの何気ない会話は、やがて巷で騒がれている「練馬区女子高生失踪事件」へと繋がっていく。
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未読者向け:ここが凄い!会話劇×ミステリーの3つの発明
なぜ、この作品がこれほど評価されているのか? ただのミステリー漫画ではない、独自の3つの魅力を解説します。
1. 「動物」なのは理由がある(ただのデザインじゃない)
本作の最大の特徴は、登場人物が全員「動物」の姿をしていること。 しかし、彼らは「人間社会」で暮らしています。スマホを持ち、SNSをやり、キャバクラに行きます。
「ただのデザインでしょ?」と思いますよね。 実はこれ、物語の根幹に関わる重大なトリックなんです。 なぜ主人公の目には世界がこう映っているのか? その理由が明かされた時、ほのぼのとした絵柄が、一気にホラーへと変わります。
2. リアルすぎる「ダメ人間」たちの群像劇
登場する動物たちの悩みは、ファンタジー要素ゼロ。痛いほどリアルです。
- カバ(大学生):Twitter(X)でバズりたくて、嘘の正義感で犯罪者を晒そうとする。
- サル(清掃員):マッチングアプリで嘘の経歴を載せ、美人と結婚しようと借金をする。
- ネコ(アイドル):センターになりたくて、整形や枕営業に手を染めようとする。
現代社会の「病み」を抱えた彼らが、タクシーという密室で交錯する。 「うわ、こういう奴いるわ…」という共感性羞恥が止まりません。
3. セリフ回しの妙と伏線回収
脚本を担当した此元和津也さんは、映画『セトウツミ』などで知られる会話劇の名手。 とにかくキャラクターたちの会話のテンポが良い! まるで漫才のようなウィットに富んだやり取りの中に、事件解決のヒントがサラッと紛れ込んでいます。
「あの時のあのセリフ、冗談じゃなくて伏線だったのか!」 読み返すたびに発見がある、極上のシナリオ構成です。
主要キャラクター相関図(乗客リスト)
事件の鍵を握る、一筋縄ではいかない乗客たちを紹介します。
【タクシー運転手と医師】
- 小戸川(セイウチ)
- 主人公。不眠症のタクシー運転手。理屈っぽくて皮肉屋だが、根は優しい。ある秘密を抱えている。
- 剛力(ゴリラ)
- かかりつけの医師。小戸川の良き理解者だが、彼の「異変」に気づき心配している。
- 白川(アルパカ)
- 剛力の病院の看護師。小戸川に好意を寄せているが、裏ではドブ(ヤクザ)と繋がっている…? 特技はカポエイラ。
【訳ありの乗客たち】
- 柿花(サル)
- 小戸川の旧友。清掃員だが、マッチングアプリで「年収2000万」と嘘をつき、事件に巻き込まれる。
- 樺沢(カバ)
- バズりたい大学生。小戸川のタクシーに乗った指名手配犯の写真をSNSにアップし、ネットの英雄になろうとする。
【裏社会の住人】
- ドブ(ゲラダヒヒ)
- 指名手配中のヤクザ(のような男)。失踪した女子高生を探している。小戸川を脅し、協力させる。
- ヤノ(ヤマアラシ)
- ドブのライバルである半グレ。全てのセリフがラップ(韻を踏んでいる)という異色のキャラ。
女子高生はどこへ消えたのか? 小戸川の押し入れに隠されている「何か」とは? そして、最後に笑うのは誰なのか?
ここから先は、ネタバレ全開で「事件の真相」と「小戸川の病気」について深掘りしていきます。
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ストーリー深掘り:練馬区女子高生失踪事件の全貌
物語の中心にある「練馬区女子高生失踪事件」。 アイドルグループ「ミステリーキッス」のメンバーが絡むこの事件は、時系列が複雑に入り組んでいます。まずはあの日、何が起きたのかを整理しましょう。
時系列整理:あの日、タクシーに誰が乗ったのか?
事件当日(10月4日)、小戸川のタクシーには「犯人」と「被害者」が乗っていました。
小戸川は、ミステリーキッスの事務所裏で、マネージャーの山本と、三矢ユキ(被害者)を乗せます。 この時、三矢はまだ生きていましたが、様子がおかしい(マスクをして喋らない)状態でした。
走行中、指名手配犯のドブが乗り込んできます。 小戸川は脅され、協力させられますが、この時点で車内の空気は最悪です。
実は、この時すでに本物の三矢ユキは殺害され、死体となって事務所にありました。 小戸川が乗せたのは、替え玉となった和田垣さくら(または二階堂)だったのです。 その後、犯人グループ(山本・ヤノ・関口)によって、本物の三矢の遺体は海へ沈められました。
重要:オーディオドラマ「幸せのボールペン」が示す真実
『オッドタクシー』を語る上で絶対に外せないのが、YouTubeで公開されていたオーディオドラマです。 これは、作中で様々な人の手に渡った「盗聴器入りのボールペン」が拾った音声データです。
本編では描かれなかった「真犯人の狂気」が、ここには記録されています。
- 盗聴されていた内容: アイドルたちの楽屋での会話、嘘、足の引っ張り合い。 そして、和田垣さくらが、ライバルである三矢ユキを殺害したことを示唆する独り言や、鼻歌交じりの犯行直後の音声…。ト
アニメや漫画だけを見ていると「和田垣ってちょっと怖い子だな」くらいですが、オーディオドラマを聞くと「あ、こいつこそが本当のサイコパスだ」と確信に変わります。 彼女は「自分がセンターになるため」なら、迷わず人を殺し、平然と唐揚げを食べる女なのです。
徹底考察:小戸川の病気と「視覚」のトリック
なぜ、この作品のキャラクターは動物なのか? その理由は、ファンタジーでも比喩表現でもなく、小戸川の脳に起きた医学的な症状でした。
高次脳機能障害と「動物に見える世界」
小戸川は幼少期、親に捨てられ、一家心中(無理心中)の車から一人だけ助かった過去があります。 その事故の後遺症による「高次脳機能障害(視覚失認)」。 これが、彼が人間を動物として認識してしまう原因でした。
- 彼に見えている世界:人間が、その人の特徴に合った動物の姿に見える。
- 実際の世界:ごく普通の人間社会。
だから、彼だけが群衆の中で特定の人を見つけ出せたり(動物の種類で見分けるから)、指名手配犯の顔を瞬時に覚えられたりしたのです。 「動物に見える」というのは、彼にとっての呪いであり、同時に探偵のような能力でもあったわけです。
ラストシーンで「フィルター」が外れた意味
物語の終盤、タクシーごと海に転落したショックで、小戸川の脳機能は正常に戻ります。 その瞬間、世界は一変しました。
かわいい動物たちはいなくなり、そこには「くたびれた中年男性(剛力)」や「強面のヤクザ(ドブ)」、「普通の看護師(白川)」がいるだけ。 このシーンの「魔法が解けた」ような喪失感と、リアリティの冷たさは鳥肌モノです。
しかし、小戸川にとっては「普通の人間」に戻れた瞬間でもあります。 やっと普通の世界で生きていける…そう思った矢先の、あのラストシーンへと繋がるのです。
最終回(5巻)の結末:あの笑顔の後に何が起きた?
漫画版(およびアニメ版)のラストシーン。 日常に戻った小戸川のタクシーに、ある一人の少女が乗り込んできます。 「和田垣さくら」です。
「どちらまで?」と聞く小戸川。 ニッコリと笑う和田垣。 そして物語は、プツリと幕を閉じます。
この戦慄のクリフハンガー(宙ぶらりんの結末)について、徹底的に深読みしていきましょう。
真犯人・和田垣さくらの狂気
この物語の真の黒幕、和田垣さくら。 彼女は、一見すると「夢を追う健気なアイドル」ですが、その本性は「自分が一番(センター)になるためなら、ライバルを殺すことも厭わない怪物」でした。
彼女の行動原理は「運」ではありません。「排除」です。 三矢ユキを殺害した動機も、「自分がデビューメンバーに選ばれなかったから、枠を空けるために殺した」というあまりに身勝手なもの。
オーディオドラマで描かれた、盗聴器を拾った後の「幸せのボールペン…ラッキー」という独り言は、彼女が罪悪感を一切持っていないサイコパスであることを証明しています。
タクシーに乗り込んだ「彼女」の目的
なぜラストシーンで、彼女は小戸川のタクシーに乗ったのか? 理由は2つ考えられます。
- 口封じ:小戸川は事件のことを知りすぎている(かもしれない)ため、始末しに来た。
- 偶然:本当にただの偶然。しかし、彼女にとって「邪魔な人間が目の前に現れる」のは、排除すべきサインでもある。
読者の最大の懸念は「小戸川さんは殺されたのか?」という点でしょう。 漫画版だけを読むと「バッドエンド」に見えますが、実は公式な「続き」が存在します。
まとめ:運がいいのか悪いのか、それは結末次第
『オッドタクシー』という作品は、現代社会の寓話でした。
SNSでバズりたい、誰かに認められたい、金持ちになりたい。 そんな欲望を持った人間(動物)たちが、一台のタクシーに乗り合わせ、人生を交錯させる。 主人公の小戸川は、不運な事故で家族を失い、脳に障害を負いました。 しかし、その障害があったからこそ、事件を解決し、白川さんという理解者に出会え、大金を手に入れることもできた。
「運がいいのか悪いのかは、終わってみないとわからない」
『オッドタクシー』原作:此元和津也/P.I.C.S. 作画:肋家竹一
小戸川が作中で呟いたこの言葉こそ、本作のテーマそのものです。 あなたの人生というタクシーも、次はどこへ向かうかわかりません。 でも、たまには誰かと会話して、窓の外を眺めてみるのも悪くない。そんなふうに思わせてくれる名作でした。
全5巻、この高密度のミステリーを読み終えたあなた。 ぜひ、もう一度第1巻から読み返してみてください。 最初は気づかなかった「あの動物の視線」や「何気ないセリフ」に、きっと背筋が凍るはずですから。
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