【完結】かぐや様は告らせたい全28巻の感想。「頭脳戦」が「普通の恋」になるまでの軌跡

かぐや様は告らせたい

「恋愛は戦! 好きになった方が負けである!」

そんな強烈なナレーションから始まる、偏差値の高い馬鹿たちの恋愛劇。 アニメ化、実写映画化と、令和のラブコメ界を牽引し続けた『かぐや様は告らせたい』。

完結した今、この作品をどう評価するか? 一言で言えば、「前半は神懸かったギャグ漫画、中盤は最高のエモさ、そして後半は…我々読者の愛が試される作品」です。

正直に言いましょう。 この作品は、手放しで「全編通して完璧!」とは言い難い部分があります。特に終盤のシリアス展開については、ファンの間でも意見が真っ二つに分かれました。

しかし、それでもなお、本作が描こうとした「仮面を被った臆病な二人が、どうやって素顔を晒し合うか」というテーマは、最後までブレることなく貫かれています。 爆笑して、キュンとして、時に「えっ、そっち行くの?」と困惑しながらも、最後にはキャラクターたちをさずにはいられない。

そんな愛すべき怪作、全28巻の軌跡を、良いところも悪いところも包み隠さずレビューしていきます。

ガンマ先生

アニメから入った人は、原作後半の展開に驚くかもしれません。 「ラブコメ」の枠を壊そうとして、壊れすぎちゃった部分も含めて、この作品の魅力なんですよね。

目次

令和を代表するラブコメ!作品の基本情報

まずは、社会現象にもなった本作の基本データをおさらいします。

作品データ
  • 作品名:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜
  • 作者:赤坂アカ(『【推しの子】』の原作者としても有名)
  • 連載:週刊ヤングジャンプ(2015年〜2022年)
  • 巻数:全28巻(完結済み)
  • ジャンル:ラブコメ、ギャグ、心理戦
  • あらすじ: 将来を期待されたエリートたちが集う名門・秀知院学園。 その生徒会で出会った、副会長・四宮かぐやと、会長・白銀御行。 誰もがお似合いと認める二人だったが、高すぎるプライドが邪魔をして、いまだに告白できずにいた! 「如何にして相手に告白させるか」 これだけに知能を費やす、天才たちによる等身大の恋愛頭脳戦(という名の我慢比べ)が始まる。

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ここが凄かった!前半〜中盤の「発明」的面白さ

まずは、誰もが認める「神漫画」だった部分について。 この作品がラブコメの歴史に刻んだ3つの発明を紹介します。

1. 「告白=負け」というルールの発明

通常の少女漫画なら、告白はゴールのひとつです。 しかし本作では、告白は「敗北」と定義されます。

「恋愛において、好きになった方が下僕となる!」 この歪んだ信条を持つ二人が、IQ200越えの頭脳を使って、「映画に誘わせるトリック」や「LINEの交換をさせる心理戦」を展開する。 やってることは中学生レベルなのに、頭の使い方が国家レベル。この「無駄な知能の浪費」が生み出すギャップが、初期の爆発的な面白さを支えていました。

2. 「裏主人公」石上優の成長ドラマ

本作を語る上で外せないのが、生徒会会計・石上優(いしがみ ゆう)の存在です。

初期は「リア充死ね」と毒づくだけの陰キャキャラでした。 しかし、彼が抱える過去のトラウマと、それを乗り越えようとする体育祭編以降のドラマは、主人公カップル以上に読者の共感を呼びました。

「正しくあろうとした人間が、報われるとは限らない」 そんな理不尽な現実に対して、彼がどう立ち向かうのか。 『かぐや様』が単なるギャグ漫画の枠を超えたのは、間違いなく石上優というキャラクターのおかげです。

3. 完璧なクライマックス「ウルトラロマンティック」

原作の中盤(アニメ3期)で描かれた文化祭編。 ここは、ラブコメ漫画史上でも屈指の完成度だと断言できます。

これまでの伏線をすべて回収し、計算と情熱が入り混じった極上の演出で魅せるクライマックス。 「もうここで完結でいいじゃないか!」と思った読者も多かったはず。 それくらい、この時点でのボルテージは最高潮に達していました。

主要キャラクターと「心の仮面」

この作品のキャラクターたちは、全員が分厚い「ペルソナ(仮面)」を被っています。 外面と内面のギャップを知れば、彼らがもっと愛おしくなるはずです。

【こじらせた天才たち】

  • 四宮かぐや(副会長)
    • 日本有数の大財閥の令嬢。万能型の天才だが、世間知らずで性知識は小学生レベル。「お可愛いこと」と見下すのは、弱さを隠すための鎧。
  • 白銀御行(会長)
    • 努力型の天才。貧乏家庭で育ち、アルバイトと勉強で頂点に立った。完璧超人に見えるが、運動音痴かつカナヅチで音痴という弱点だらけの男。

【物語を動かすトリックスター】

  • 藤原千花(書記)
    • 本作の混沌(カオス)。頭脳戦を無邪気な行動で破壊する。彼女がいなければ二人の恋は進まないが、彼女がいるせいで台無しにもなる。
  • 石上優(会計)
    • 鋭い観察眼を持つゲーマー。地雷を踏んでかぐやに殺されかけるのが日常。後半の裏主人公。
  • 伊井野ミコ(会計監査)
    • 真面目すぎる風紀委員。石上とは犬猿の仲だが…?

【最強のサポーター】

  • 早坂愛
    • かぐやの専属侍女。ギャル、清純派など複数のキャラを演じ分ける苦労人。彼女の「解放」も本作の重要なテーマ。

こうして見ると、完璧な人間なんて一人もいません。 みんな何かが欠けていて、それを隠そうと必死になっている。

物語は、そんな彼らが「仮面を脱いでいく」過程を描いていきます。 しかし、その「仮面を脱ぐ」という行為が、後半のシリアス展開(財閥編)で思わぬ賛否を呼ぶことになるのです。

ここから先は、「なぜ後半は評価が分かれたのか?」「石上たちの恋の結末は?」という、完結後の今だからこそ語れるディープな領域に踏み込みます。

ここから先はネタバレを含みます。 特に「氷かぐや編」以降の展開を知りたくない未読の方は、ここで引き返して、まずは原作を手に取ってみてください。 前半の面白さは保証します。後半をどう感じるかは…あなた次第です!

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賛否が分かれた「氷かぐや編」の重要性

アニメ3期のラスト、文化祭での「ウルトラロマンティック」なキス。 最高に盛り上がったあの直後、原作では何が起きたか覚えていますか?

そう、かぐや様が急に冷たくなりました。 通称「氷かぐや編」。ここで「えっ、なんで?」「面倒くさい女だな…」と感じて脱落しかけた読者もいたかもしれません。

しかし、僕はこのパートこそが、本作が「ただのラブコメ」から一歩踏み出すために絶対に必要な儀式だったと考えています。

なぜ、あんなに面倒くさくなったのか?

白銀御行は、「完璧な自分(努力し続ける会長)」しか見せてきませんでした。 四宮かぐやもまた、「可愛いかぐやちゃん」というペルソナで接してきました。

しかし、付き合うということは、「見せたくない汚い部分」も含めて愛し合うことです。 氷かぐやが出した答えは、「キスくらいで浮かれるな。私のドロドロした内面も全部受け止めてからキスしろ」という、極めて強欲で、人間臭い要求でした。

公園のベンチで、今度は白銀から仕掛けた、ムードもへったくれもないキス。 これこそが、二人が「理想のカップル」という仮面を脱ぎ捨て、生身の人間として向き合った瞬間です。 このエピソードがあったからこそ、二人の関係は「頭脳戦」というゲームから、本物の「恋愛」へと昇華されたのです。

なぜ最終章「四宮家お家騒動」は乗り切れなかったのか?

さて、問題はここからです。 物語の終盤、四宮家の権力闘争を描いた「最終章(お家騒動編)」。 ここに関しては、正直に言って「ラブコメ漫画の限界を超えようとして、無理が生じてしまった」感は否めません。

なぜ、多くの読者が違和感を覚えたのか? 理由は大きく2つあります。

ラブコメと「サスペンス」の相性の悪さ

それまで「学園内の恋愛」という箱庭で戦っていたのに、急に相手が「国家権力レベルの巨大財閥」になってしまいました。 数百兆円規模の遺産相続、ヤクザまがいの脅し、誘拐…。

「高校生が知恵と勇気で大人たちに立ち向かう」という構図は熱いですが、いかんせん相手が巨大すぎました。 読者としては、リアリティライン(嘘の許容範囲)が急激に変わってしまったことで、「これ、僕が好きだった『かぐや様』だっけ?」という置いてけぼり感を感じてしまったのです。

天才たちの知能レベルの揺らぎ

初期の頭脳戦は、「天才たちが馬鹿なことに全力を注ぐ」から面白かったわけです。 しかし最終章では、「本当に深刻な状況」に対して、解決策がややご都合主義的に見えてしまいました。

  • 突然現れる数億円単位の支援金
  • 高校生とは思えないコネクションの乱用
  • 四宮家の兄たちの「悪役としての格」の低さ

「恋愛頭脳戦」のキレ味というよりは、「人脈と金と勢い」で解決してしまった印象。 もちろん、白銀会長が築いてきた人望の集大成ではあるのですが、初期のような「あっと驚くトリック」を期待していた層には、少し物足りない決着だったかもしれません。

サブキャラたちの結末と「未完」の美学

最終回を迎えて、最も読者の声が大きかったのは「石上とミコは結局どうなったんだ!?」という点でしょう。 二人の関係性について、賛否両論ある結末をどう受け止めるべきか考察します。

石上優と伊井野ミコ、二人の距離

結論から言うと、最終巻でも二人は「付き合っていません」。 これに対して「消化不良だ」「最後まで描いてほしかった」という批判があるのも事実です。

しかし、作者・赤坂アカ先生は、あえて「付き合う直前の、一番楽しい(そして面倒くさい)時期」で止めることを選んだのだと思います。

なぜ二人はくっつかなかったの?

「新たな恋愛頭脳戦」の始まりだからです。
最終巻のおまけ漫画でも描かれていましたが、二人はかつてのかぐやと白銀のように「相手から告白させる」ための泥沼の戦いに突入しています。 つまり、物語は終わっても、彼らの青春(戦争)はここからが本番。 安易にゴールインさせるよりも、「この先も彼らの日常は続いていく」という余韻を残す、本作らしいラストだったと言えるでしょう。

藤原千花は最後まで「藤原千花」だった

シリアスな展開や感動的なフィナーレの中で、唯一ブレなかったのが藤原書記です。 彼女には最後まで浮いた話がなく、政治家への道を邁進し、相変わらずの混沌(カオス)として物語を引っ掻き回しました。

多くの作品が「最終回発情期(ファイナルファンタジー)」と呼ばれるように、サブキャラを無理やりカップリングさせる中で、彼女を「恋愛市場の外にいるトリックスター」として貫き通した点は、高く評価されるべきポイントです。

最終章・四宮家お家騒動と「最終回」の解釈

かぐや様は告らせたいというタイトルの真の回収

物語のラスト。四宮家との戦いを終え、卒業式を迎えた二人。 ここで第1話のタイトル『かぐや様は告らせたい』の意味が、鮮やかに反転します。かつては「プライドのために相手に告らせたかった」かぐや。 しかし最終回、彼女は「愛を伝えるために、白銀会長へのサプライズ」を決行します。

「告らせたい」「愛情を受け取りたい」という受け身だけの願望を捨て、自らの足で未来を選び取ったかぐやの姿。 この美しい着地があったからこそ、途中の展開に多少の粗があったとしても、読者は「読んでよかった」と笑顔になれたのではないでしょうか。

まとめ:完璧な作品ではない。だが、愛すべき作品だった

全28巻を振り返ってみると、『かぐや様は告らせたい』は決して「完璧な構成の漫画」ではありませんでした。 特に後半のシリアス展開やサスペンス要素には、正直言って無理があったし、賛否が分かれるのも当然です。

しかし、「人間の面倒くさい心理」をこれほど解像度高く、かつ面白おかしく描いたラブコメは、他に類を見ません。

  • 完璧に見える人にも、恥ずかしい内面がある。
  • 傷つくのが怖いから、人は仮面を被る。
  • それでも、誰かと分かり合いたいと願っている。

この普遍的なテーマを、「頭脳戦」というギャグで包み込み、最後は直球の愛で締めた。 欠点も含めて、人間臭くて愛おしい。それが『かぐや様』という作品でした。

まだ読んでいない方、途中で止まっている方。 ぜひ最後まで見届けてください。 きっとあなたも、面倒くさい彼らのことが大好きになるはずですから。

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